2012/06/27

八日目の蝉♡

外出先から帰ってくると、テレビでは井上真央ちゃんの映画【八日目の蝉】を放映してた。

八日目の蝉【映画版】
不実な男を愛し、子供を身ごもった女、野々宮希和子。母となることが叶わない絶望の中、同時期に男の妻が女の子を出産したことを知る。「赤ちゃんを一目見たい、見たらけじめがつけられる…」夫婦の留守宅に忍び込み、ベビーベッドで泣いている赤ん坊を見た瞬間、希和子は思わず子供を抱えて家を飛び出していた。刹那的な逃亡を繰り返し、絶望と幸福感の中で疑似親子となった二人。しかし逃亡生活は、4年で終止符を打つ。……優しい母親だと思っていた人は、誘拐犯だった。4歳の少女の、血のつながった両親との普通の生活はこの事件によって一変する。誰にも心を許せず、両親とわだかまりを抱いたまま大学生になった秋山恵理菜は、ある日、自分が妊娠したことに気づく。相手は、希和子と同じように、家庭を持つ男だった。幼い頃一緒にいた女友達に励まされ、自分の過去と向き合うために、かつて母と慕った人との逃亡生活を辿る恵理菜。最後の地、小豆島で恵理菜が見つけた衝撃の真実とは?

そういえば、わたしこの作品、原作も読んだことがなければ、映像化作品も観たことがなかったわ、と思って、アイスを片手にぼんやりと鑑賞。

そうこうしているうちに、(小説を元に映画化されたものは大体そうなのかもしれないけれど)あまりの展開の速さに、状況把握に戸惑って、そうして唐突感たっぷりにエンディングを迎えてしまい、、、

「やっぱりちゃんと、原作読もう」と。次の日、すぐに本屋さんへ向かったよ。

この作品、よくオススメされてるなぁと思ったけれど、読んでみて「きっと男性には理解が難しいんじゃないかな」と思った。女性特有の劣等感とかプライドとか。意地とか母性とか。角田光代さんは、女特有の感性を描くのがとっても上手だ。

希和子が、薫(恵理菜)を抱いた瞬間に感じた柔らかさや重みは、わたしが友達たちの赤ちゃんを抱っこさせてもらった時に感じたものと同じだったと思う。とっても繊細で壊れそうなのに、なんだかどっしりとして妙に存在感のあるもの。
惹きつけられて仕方のないもの。不思議だね、遺伝子にインプットされているかのように、惹かれる。

母性って、なんだろうね?子どもを産んだら、わかるかな?
今はまだ遠い将来のような気がしているけれど、、、子どもを産むということがどういうことなのか、わたしにはまだ未知の世界だけれど、いつかわかる日が来た時に、希和子の気持ちも恵理菜の気持ちも、あらためて強く、実感を伴ってわかるんじゃないかな。
今は、同じ女性としてでさえ、想像の域を出ない【八日目の蝉】に出てくる女性たちそれぞれの心情。

「瀬戸内の海、すっごい静かなんだよ。ほんと、なんか、鏡みたいなんだ。その鏡にさ、何が映ってると思う?それがね、なあんにも映ってないんだよ。雲も、まわりに浮かぶ島も、不思議なくらいなんにも映ってない。なあんにも映んない鏡なの。ただ、しーんと銀色なの。その銀色の上をさ、さらさらさらって撫でるようにして、陽が沈んでいくんよ。」
 このシーンの描写がとっても印象的で、近い将来、小豆島へ・瀬戸内の海へ行きたいと心から思った。角田さんの心理描写や風景描写にいちいち心動かされて、旅をしたくてたまらなくなったよ。

文庫版のあとがきは、池澤夏樹さん。男性目線でみた、【八日目の蝉】の表現は誘拐犯と父親の対比をもってなされたけれど、これがなかなか面白いアプローチだと思った。あとがきも目が離せないね。

いつか。いつかわたしも育児というものをしてみたいな*

八日目の蝉/角田光代

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